「法人成り」の経営事項審査は?
建設業を個人で営業していたものを、法人を設立してからの経営事項審査についてまとめています。
個人の実績を引き継がないといけないの?
法人の新規開業とすることも可能ですが、通常は点数が下がってしまうので引継ぎを選択します。
事業承継できる項目は?
個人から法人へ引き継ぐことが出来るのは、以下の4点です。
- 完成工事高と元請完成工事高
- 平均利益額
- 営業年数
- 技術職員
自己資本額は承継できません。
承継時の自己資本額は、期首資本金の額となります。
承継をしないと実績はなくなりますので、かなり低い点数になってしまいます。
個人事業の実績を承継することで、点数が大幅に下がることを避けることができます。
法人成りできる要件は?
「法人成り」にできる要件も、以下の4点で決められています。
要件を確認するため、関係する資料も用意する必要があります。
①個人事業の許可を廃業し、法人の許可を取っていること
廃業届のコピーを提出することで、証明できます。
②元個人事業主が、50%以上出資して法人設立していること
副本の株主調書(様式14号)から比率を確認します。
商業登記簿謄本から、発行株数を確認します。
以上の2つから、出資割合を証明できます。
③個人事業主と法人の事業年度が連続していること
廃業届のコピーから、廃業年月日を確認します。
商業登記簿謄本から、会社の設立日を確認します。
以上の2つから、事業年度が連続していることを証明できます。
④個人事業主が法人の代表者となっていること
副本の役員等の一覧表(様式1号別紙1)で証明できます。
法人成りの提出書類は?
申請書類関係も、通常の経営事項審査とは異なる点があります。
完成工事高や平均利益高を12カ月分に按分したり、ややこしい手続きとなります。
基本となる申請書類は、まず必要です。
通常の申請書類は、以下のページで紹介しています。
通常の申請書類と違う点に注視して、記載します。
ただしややこしい手続きになるため、不足分がある場合もあります。
許可行政庁に確認しながら行うことをお勧めします。
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書【25号の11】
項番03 前回申請時許可番号
個人時代の許可番号を記載します。
法人成り後、最初の決算時に経審を受審する場合は空欄になります。
項番04 審査基準日
法人設立の日を、審査基準日にできます。
法人成り後、最初の決算時に経審を受審する場合は最初の決算終了日になります。
項番06 処理の区分
組織変更による事業承継のため、「02」となります。
右側は空欄です。
項番17 自己資本額
設立時経審では、資本金を入力します。
自己資本額は承継できません。
項番18 営業利益と減価償却実施額
按分をする必要があります。
2年平均の場合は、当期と前期は損益計算書で確認します。
3年平均の場合は、前々期は個人時代の分析で確認します。
工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高【別紙1】
1つの決算期間が、12カ月単位になるように按分します。
按分は以下のページで、決算期変更で紹介しています。
その他の基本となる申請書類は、通常の経審同様に必要となります。
- 技術職員名簿【別紙2】
- その他の審査項目(社会性等)【別紙3】
- 工事経歴書【2号】
- 工事確認書類
その他の提出書類は、以下になります
- 「廃業届」副本のコピー
- 個人事業主最後の「直前3年の各事業年度における工事施工金額」(様式第3号)
- 未提出の財務諸表のコピー
- 社会保険加入が確認できる資料のコピー
提示書類
- 承継法人の新規許可申請書の副本
- 承継前の被承継人の直前の決算期における経営事項審査を申請していない場合は、被承継人の承継前の直前の決算期における消費税確定申告書控及び添付書類の写し並びに消費税及び地方消費税納税証明書(税務署発行分「その1」・納税額等証明用)の写し
経営事項審査だけでもややこしいのに、よりややこしい~。
そうだね。経審に詳しい行政書士に頼むほうがよいかもね。