建設業許可と役員の任期について
法人の場合、建設業許可申請で取締役の任期を確認します。
確認するには、商業登記簿謄本で確認されます。
「商業登記簿謄本」で、役員の任期を確認できるんだね?
「商業登記簿謄本」は4種類あるから、必要なものを確認しましょう。
「商業登記簿謄本」の種類は何がある?
「商業登記簿謄本」には、以下の4種類あります。
- 現在事項証明書
- 履歴事項全部証明書
- 閉鎖事項証明書
- 代表者事項証明書
① 現在事項証明書
現在効力を有する事項のみが、記載されます。
現在効力がない事項は、記載されません。
②履歴事項全部証明書
「現在事項全部証明書」に記載される事項は、全て記載されます。
「現在事項全部証明書」に追加して、3年前の日の属する年の1月1日以降から登記された事項や抹消された事項が記載されます。
③閉鎖事項証明書
閉鎖された登記情報について、知りたいときに取得します。
「履歴事項証明書」に記載されない以前の情報が、掲載されます。
④代表者事項証明書
会社の代表権を持っている人について証明します。
代表者に関する情報だけわかればいいのであれば、こちらを取得します。
建設業許可での書類では、「履歴事項全部証明書」を取得します。
情報が足りないときに、「閉鎖事項証明書」も取得します。
「現在事項証明書」と「代表者事項証明書」を、取得することはありません。
「履歴事項全部証明書」に、記載されていることは以下のとおりです。
- 会社法人等番号
- 商号
- 本店
- 広告をする方法
- 会社成立の年月日
- 目的
- 発行可能株式総数
- 発行済株式の総数並びに種類及び数
- 資本金の額
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 役員に関する事項
- 監査役設置会社に関する事項
- 登記記録に関する事項
役員の重任登記をしていないときは?
取締役等の任期が満了しているにも関わらず、取締役の重任登記をしていないことがあります。
会社の役員の任期満了後、同じ人が続けて役員を行うことを「重任」といいます。
新規申請の場合は、登記完了後に申請をすればOKです。
しかし更新の場合は、申請前に「履歴事項全部証明書」を取得して気づくこともあり、間に合わない場合があります。
任期は、設立時に作成した定款に記載されています。
定時株主総会を開催していない、もしくは役員変更決議をしていないことを「選任懈怠(せんにんけたい)」といいます。
「選任懈怠」では、全く役員変更決議をしていないため、同じ人が再任された場合、「年月日退任」「年月日就任」となります。
退任日と就任日の日付が、空白期間となります。
役員が任期を満了すると、その役員は自動的に退任することになります。
ただし、その役員が退任することで会社法または定款で定める人数に満たなくなる場合には、新たな取締役が選任されるまでは、役員としての権利義務は持ち続けることになります。
この場合であっても、任期が満了している事実は変わらないので、「選任懈怠」であることに変わりはありません。
「選任懈怠」に気付いたら、速やかに選任手続きを行って変更登記申請を行わなければなりません。
「選任懈怠」は、「100万円以下の過料に処する。」と会社法に定められています。
空白期間が生じると、空白期間に取締役であったことを証するための書類が必要となります。
決算報告書の役員報酬欄で常勤であることを確認し、株主総会議事録、取締役議事録などで役員として出席していることを証明する必要があります。
また役員の選任決議をしているけれど、登記をしていない「登記懈怠(とうきけたい)」があります。
「登記懈怠」の場合、登記失念しただけなので、定時株主総会開催時を持って「年月日重任」と登記できます。
「重任日」と「登記日」の日付に、空白期間があります。
「登記懈怠」も、「100万円以下の過料に処する。」と会社法に定められています。
会社法では、会社の登記事項に変更が生じた場合、2週間以内に変更登記を申請しなければならないと定められています。
懈怠を発生させると、高額な過料や、通常業務で支障をきたすかもしれないんだね。
企業としての義務を認識して、役員の任期を把握しておかないとね。