経営事項審査の社会性等(W点)を評点アップするには?
社会性等(W)は、経営事項審査全体の評点15%の割合があります。
詳しくは、以下のページで記載しました。
W点は審査項目が多く、マイナス点もあります。
一つずつ確認していきましょう。
- W1(労働福祉の状況)の点数は?
- W2(建設業の営業継続の状況)の点数は?
- W3(防災活動への貢献の状況)の点数は?
- W4(法令遵守状況)の点数は?
- W5(建設業の経理の状況)の点数は?
- W6(研究開発の状況)の点数は?
- W7(建設機械の保有状況)の点数は?
- W8(国際標準化機構が定めた規格による登録の状況)の点数は?
- W9(若年技術職員の継続的な育成及び状況・新規若年技術職員の育成及び確保の状況)の点数は?
W点は、審査項目が多くあるんだよね~。
一つずつ確認していきましょ。
W点の審査項目は、以下のように細かくあります。
- W1→ 労働福祉の状況
- W2→ 建設業の営業継続の状況
- W3→ 防災活動への貢献の状況
- W4→ 法令遵守状況
- W5→ 建設業の経理の状況
- W6→ 研究開発の状況
- W7→ 建設機械の保有状況
- W8→ 国際標準化機構が定めた規格による登録の状況
- W9→ 若年技術職員の継続的な育成及び状況・新規若年技術職員の育成及び確保の状況
W点を出す式です。
- W点=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9)×10×190÷200
W点で必要な書類は、以下のページで記載しています。
今回は、点数に基準をおいて記載しています。
W1(労働福祉の状況)の点数は?
W1では、アとイのグループに分けて、アとイの合計値を考えます。
W1=ア+イ
アのグループは、以下の3種類です。
- (項番44)建設業退職金共済制度の加入
- (項番45)退職一時金制度・企業年金制度の導入
- (項番46)法定外労働災害補償制度の加入
- 該当している場合 → 加点(+15ポイント)
- 該当していない場合 → 0ポイント
(項番44)建設業退職金共済制度の加入
「建設業退職金共済制度」は、「建退共」(ケンタイキョウ)と呼ばれています。
事業主が、独立行政法人勤労者退職金共済機構と「退職金共済契約」を結びます。
退職金共済機構が交付する共済手帳に、労働者が働いた日数に応じた共済証紙を貼ります。
この証紙の枚数で、建設業をやめたときに退職金が支給されます。
(項番45)退職一時金制度・企業年金制度の導入
以下のどれかに該当すればOKです。
- 就業規則に、退職金制度の定められている。
- 中小企業退職金共済事業との間で、退職金共済契約が締結されている。
- 特定退職金共済団体との間で、退職金共済についての契約が締結されている。
- 厚生年金基金に加入している。
- 適格退職金年金契約を締結している。
- 確定拠出年金制度を導入している。
- 確定給付企業年金を導入している。
「中小企業退職金共済制度」は、「中退共」(チュウタイキョウ)と呼ばれています。
独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しており、国の退職金制度です。
「特定退職金共済団体制度」は、「特退共」(トクタイキョウ)と呼ばれています。
商工会議所も運営している退職金制度です。
「確定拠出年金制度」は、企業や加入者が毎月一定額の掛金を拠出し、自分で運用する制度です。
運用次第で、将来の年金額が変わってきます。
個人型確定拠出年金は、「iDeCo(イデコ)」と呼ばれています。
(項番46)法定外労働災害補償制度の加入
労働者災害補償保険法(労災保険法)による労災補償給付とは別に、補償給付の上積みを行う制度です。
以下の要件を満たす必要があります。
- 業務と通勤の両方を、対象としていること。
- 職員及び、下請負人全ての職員が対象であること。
- 死亡及び傷害等級第1級から第7級まで、補償の対象であること。
- 保険対象工事が、すべての工事現場であること。
イのグループは、以下の3種類です。
- (項番41)雇用保険の加入
- (項番42)健康保険の加入
- (項番43)厚生年金保険の加入
- 該当している場合 → 0ポイント
- 該当していない場合 → 減点(ー40ポイント)
(項番41)雇用保険の加入
法人、個人事業主に関係なく、1人でも労働者を雇用している場合は入る必要があります。
以下の場合は。適用除外になります。
- 個人事業主のみや、従業員が親族のみの場合
- 法人の従業員が、親族のみの場合
- 従業員全員が、出向社員の場合
(項番42)健康保険の加入
原則は加入しなければなりませんが、以下の場合は適用除外になります。
- 個人事業主の従業員(専従者を除く)が、4人以下の場合
- 従業員全員が、出向社員の場合
- 技術職員全員が、75歳以上の場合
- 建設国保加入の場合
(項番43)厚生年金保険の加入
原則は加入しなければなりませんが、以下の場合は適用除外になります。
- 個人事業主の従業員(専従者を除く)が、4人以下の場合
- 従業員全員が、出向社員の場合
- 技術職員全員が、70歳以上の場合
W2(建設業の営業継続の状況)の点数は?
W2でも、アとイのグループに分けて、アとイの合計値を考えます。
W2=ア+イ
アのグループは、営業年数です。
(項番47)営業年数
建設業許可を取得してからの年数に応じ、ポイントが付与されます。
- 5年以下の場合 → 0ポイント
- 6年以上の場合 → 加点(+2ポイント)※1年増えるごとに2ポイント
- 35年以上の場合 → 加点(MAX+35ポイント)
イのグループは、民事再生法又は会社更生法の適用です。
(項番48)民事再生法又は会社更生法の適用
- 該当している場合 → 0ポイント
- 該当していない場合 → 減点(ー60ポイント)
民事再生法は自己破産、会社更生法は倒産の手続きのようなものです。
W3(防災活動への貢献の状況)の点数は?
防災協定締結の有無で判断されます。
- 締結していない場合 → 0ポイント
- 締結している場合 → 加点(+20ポイント)
災害時に人的・物的援助を受けられるよう、自治体や公的機関との防災協定を締結していると加点になります。
建設業者は、専門的な技術や知識、建設材・機材などを保有しているため、多くの建設業者が防災協定を締結しています。
W4(法令遵守状況)の点数は?
建設業法第28条の規定により、指示処分や営業停止命令があった場合に減点です。
- 該当していない場合 → 0ポイント
- 指導や指示を受けた場合 → 減点(ー15ポイント)
- 営業停止命令を受けた場合 → 減点(ー30ポイント)
処分対象者は、大阪府のHPに掲載されています。
W5(建設業の経理の状況)の点数は?
W5は、アとイのグループに分けて、アとイの合計値を考えます。
W5=ア+イ
アのグループは、監査の受審状況です。
(項番52)監査の受審状況
何も無い場合 → 0ポイント
- 「経理処理の適正を確認した旨の書類」を提出している場合 → 加点(+2ポイント)
- 会計参与を設置している場合 → 加点(+10ポイント)
- 会計監査人を設置している場合 → 加点(+20ポイント)
「経理処理の適正を確認した旨の書類」とは、常時雇用している公認会計士等の有資格者が作成し、提出した場合に加点対象となる書類です。
イのグループは、公認会計士等の数で決まります。
公認会計士等数値=(公認会計士等の数×1)+(2級登録経理試験合格者の数×0.4)
点数は、手引きに記載されている表に当てはめて、算出します。
2級登録経理試験とは、建設業経理検定の2級合格者です。
W6(研究開発の状況)の点数は?
会計監査人を設置している会社のみが対象です。
要するに「(項番52)監査の受審状況」が、1の場合のみ対象です。
2年分(審査対象年と前年分)の研究開発費の平均額で、ポイントが付与されます。
手引きの表にあてはめて、ポイントを求めます。
W7(建設機械の保有状況)の点数は?
建設機械を保有しているか、審査基準日から1年7カ月以上の契約期間を有する建設機械をリースしている場合にポイントがもらえます。
(項番56)建設機械の保有状況
- 保有していない場合 → 0ポイント
- 建設機械を1台~7台持っている場合 → 加点(+5ポイント)※1台増えるごとに5ポイント
- 建設機械を8台~14台持っている場合 → 2台ごとに加点(+5ポイント)
- 15台以上 → 加点(MAX+15ポイント)
建設機械であれば、どれでもOKというわけではありません。
評価対象となる建設機械は決まっています。
詳しくは、以下のページで記載しています。
W8(国際標準化機構が定めた規格による登録の状況)の点数は?
国際標準化機構が定めた規格を持っていれば、ポイントがもらえます。
(項番57)ISO9001の登録の有無
(項番58)ISO14001の登録の有無
- 持っていない場合 → 0ポイント
- ISO9001のみ持っている → 加点(+5ポイント)
- ISO14001のみ持っている → 加点(+5ポイント)
- 両方持っている場合 → 加点(+10ポイント)
ISO9001は、取得企業を対象として顧客満足度の向上を狙いとした規格です。
ISO14001は、事業活動で発生する環境影響の保全及び汚染予防を狙いとする規格です。
W9(若年技術職員の継続的な育成及び状況・新規若年技術職員の育成及び確保の状況)の点数は?
35歳未満の方が、一定の割合以上会社にいてるとポイントをもらえます。
- 35歳未満人数/技術職員人数≧15% → 加点(+1ポイント)
- 新規の35歳未満人数/技術職員人数≧1% → 加点(+1ポイント)
審査項目が多くて、疲れたぁ~。
比較的導入しやすいものもあるので、検討してみる価値がありますよ。