建設業で必要な「財務諸表」とは?
建設業許可と決算変更届では、財務諸表を提出します。
「法人」では決算報告書、「個人」では青色申告決算書を参考にしながら作成するケースがほとんどです。
株主総会、税務申告で提出した決算報告書ではダメということだね。
建設業法施工規則に定める様式で、作成する必要があるのですよ。
必要な財務諸表は?
法人で必要な財務諸表は、以下になります。
【法人用】
- 貸借対照表 (様式第15号)
- 損益計算書 (様式第16号)
- 完成工事原価報告書 (様式第16号に含む)
- 株主資本等変動計算書 (様式第17号)
- 注記表 (様式第17号の2)
- 附属明細表(様式第17号の3)
※附属明細表は、資本金の額が1億円超であるもの又は直前決算の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上である株式会社のみ必要です。
【個人用】
個人の場合は、法人と比較して少なくなります。
また「貸借対照表」と「損益計算書」も、法人用と個人用では勘定科目が異なります。
- 貸借対照表 (様式第18号)
- 損益計算書 (様式第19号)
作成時の注意すべきことは?
金額は、すべて千円単位で記入します。
(例)100万円 → 1,000(千円)
※会社法第2条第6号に規定する「大会社」は、百万円単位で記入することができます。
1,000円未満の端数は切り捨て・四捨五入・切り下げ、どの方法をとってもOKです。
しかし、端数処理の方法は統一して記入します。
経営事項審査を受審する場合は、免税事業者を除き税抜きで作成しなければなりません。
千円未満の端数は、切り捨てで記入します。
勘定科目の違いとは?
勘定科目は決算報告書と異なり、建設業特有の勘定科目を使用します。
勘定科目の違いを想定して、作成する必要があります。
貸借対照表
- 完成工事未収金 ← 売掛金
- 未成工事支出金 ← 仕掛品
- 工事未払金 ← 買掛金、未払金
- 未成工事受入金 ← 前受金
損益計算書
- 完成工事高 ← 売上高
- 完成工事原価 ← 売上原価
- 完成工事総利益 ← 売上総利益
大まかに数字をチェックしてみよう。
財務諸表を作成したら、正しい数字がチェックしてみましょう。
貸借対照表「資産合計」と、貸借対照表「負債純資産合計」が一致すべし!
貸借対照表「純資産」と、株主資本等変動計算書「当期末残高」が一致すべし!
損益計算書「当期純利益」と、株主資本等変動計算書「当期純利益」が一致すべし!
損益計算書「完成工事原価」と、完成工事原価報告書「完成工事原価」が一致すべし!
注記表に、「税抜き・税込み」等の記載があること!
そして、全18項目あることが必要です。
なんか、ややこしいね。
財務諸表は、非常に複雑な通信簿ですね。