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経営事項審査の技術職員の常勤性について

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経営事項審査では、技術職員の人数と資格や実務により点数がUPできます。
技術職員については、こちらのページで紹介しています。

kensetsu.hatenablog.com

 

 

 

 

技術職員の常勤性については、以前にも説明していたよね?

 

ややこしいところだから、なるべく簡潔にまとめてみましょ。

 

 

技術職員の常勤性確認で提出するものは?

大阪府の手引きでは、技術職員の提出物は以下のように書かれています。

 

  • ア. 法人にあっては、法人税確定申告書のうち「役員報酬手当等及び人件費の内訳」及び「決算報告書のうち一般管理費及び工事等原価報告書(報酬・給与・賃金額がわかるもの)
  • イ. 個人事業者にあっては、所得税確定申告書のうち収支内訳書 と第二表又は青色申告決算書(専従者給与額及び給与支払者の給料賃金額(個別の内訳がわかるもの)
  • ウ. 事業主の国民健康保険被保険者証又は後期高齢者医療被保険者証、及び直近(6月以降の申請は当該年分)の住民税課税証明書(事業主を技術職員名簿に記載した場合に限る)
  • エ. 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(協会けんぽ以外の健康保険に加入している場合は、当該健康保険組合の標準報酬決定通知書)及び健康 保険被保険者証(事業者名の記載があるもの)
  • オ. 船員保険適用被保険者にあっては、船員保険被保険者証
  • カ. 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(本人交付分)
  • キ. 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用及び納税義務者用(給与収入及び徴収額がわかるもの))
  • ク. 所得税源泉徴収簿等

 

常勤性の書類

常勤性の書類

ア、イ、ウ、クは、必須書類です。
エ、オ、カ、キは、選択書類になっています。

 

まあ、なんだかんだと書かれていて、正直ややこしいです。
まずは、法人と個人で必要な書類が変わるため、分けて考えるべきですね。

 

 

法人の場合に必要な書類は?

法人で必要な書類は、まず以下の3つの書類をコピーして提出すればOKです。

 

  1. 法人税確定申告書のうち「役員報酬手当等及び人件費の内訳書」
  2. 決算報告書のうち「一般管理費」
  3. 決算報告書のうち「工事等原価報告書」

 

「役員報酬手当等及び人件費の内訳書」は、法人税の確定申告で役員報酬の役員毎の内訳や、人件費の総額等を示す書類です。


「一般管理費」(販売費及び一般管理費)は決算書で作成し、営業従業員の人件費、営業事務従業員の人件費、管理部門・経理部門の従業員の人件費等を示す書類です。


「工事等原価報告書」(完成工事原価報告書)は決算書で作成し、事業年度中に完成した工事の原価である材料費、労務費、経費、外注費、経費の内訳を示す書類です。

 

法人の技術職員で、全員必要な書類は以下です。

 

「所得税源泉徴収簿」または「賃金台帳」

 

源泉徴収簿とは、源泉徴収票とは違うものです。
源泉徴収簿は、源泉徴収票を不備なく発行するために作る帳簿です、
作成を定められたものではありませんが、給与から徴収した税額等を従業員さんごとに記録しておくために、ほとんどの事業者さんが作成します。

 

必要な期間の源泉徴収簿は、審査基準日から6カ月を超える期間です。
要するに、「6カ月+1日」ですね。

 

例えば審査基準日が、令和2年4月30日だったら、令和元年10月29日分から計上します。
そのため、令和元年10月分~令和2年4月分まで働いたことが分かる源泉徴収簿を提出すればOKです。

 

そして法人の技術職員は、選択から提出する書類があります。

  

一番便利なのが、以下の1枚です。

 

雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)


従業員を雇用保険に加入している証明になります。
「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」が交付されたら、事業主は被保険者本人に交付しなければなりません。
この通知書は年度を気にしなくてよいので、毎年同じコピーの提出なので楽です。


もし「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」の用意が出来なかった場合は、別の方法があります。
以下のセットでもOKです。

  1. 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)
  2. 住民税特別徴収税額通知書(納税義務者用)


「住民税特別徴収税額通知書」とは、事業者が従業員に対して行う義務のある住民税の天引き制度です。
特別徴収義務用は会社が保管し、納税義務者用は従業員が保管します。

会社保管用と従業員保管用のセットで、勤務していることを証明できます。


前年(1月1日~12月31日)の所得で住民税を算出し、毎年5月31日までに事業者宛に「特別徴収税額決定通知書」が送付されます。
「住民税特別徴収税額通知書」で、6月~翌年5月までの在籍を推定することができます。

 

6カ月を超える在籍期間を、証明する必要があります。
例えば令和2年6月30日が審査基準日の場合、令和元年12月29日~令和2年6月30日までを証明します。

 

令和2年6月分は令和2年分で証明できます。
令和元年12月~5月分は、令和元年分で証明できます。

 

簡単に言えば、審査基準日が6月から11月の場合は2期分必要と考えればOKです。


もし納税義務者用が紛失して見つからない場合、「同年度の住民税課税証明書」で代用ができます。

 

途中入社などで特別徴収(給料天引き)することになった方は、「住民税特別徴収への切替依頼書」を代わりに提出し、特別徴収されていることを証明します。

 

 

また、以下のセットのコピーでもOKです。
このパターンで提出するケースが最も多いです。

  1. 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  2. 健康保険被保険者証


「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」は、(4月~6月)に支払った報酬月額により、8月~9月に日本年金機構から雇用先へ届きます。
「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」で、4月~翌年8月までの在籍を推定することができます。

 

6カ月を超える在籍期間を、証明する必要があります。
例えば令和2年9月30日が審査基準日の場合、令和2年3月29日~令和2年9月30日までを証明します。

 

令和2年4月分~9月分は令和2年分で証明できます。
令和2年3月分は、令和元年分で証明します。

 

簡単に言えば、審査基準日が9月の場合は2期分必要と考えればOKです。

 

途中入社の方は、標準報酬月額が決定すると健康保険組合から「資格取得確認および標準報酬月額決定通知書」が事業所宛に送られるのでコピーを提出します。


船員保険適用者は「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」ではなく、船員保険の強制被保険者となります。
船員保険被保険者証」のコピーのみでOKですが、滅多に対象者はおりません。

 

 

個人の場合に必要な書類について

個人でまず必要な書類は、以下のどちらかの書類を、コピーして提出すればOKです。

  • 所得税確定申告書のうち収支内訳書と第二表
  • 青色申告決算書(専従者給与額及び給与支払者の給料賃金額(個別の内訳がわかるもの)


個人事業主は、以下の書類ともに提出します。

  1. 国民健康被保険者証
  2. 住民税課税証明書(直近分)

 

個人事業主だけは雇われているわけではないので、源泉徴収簿は必要ありません。

 

住民税課税証明書は、その年の1月1日時点の住所である自治体の役所で発行することができます。
個人の所得、扶養の状況、課税額などが記載されています。
納税証明書ではないので、気を付けましょう。


専従者は、以下の書類のみです。

 

源泉徴収簿

 

ちなみに専従者とは、個人事業主と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族などの家族従業員です。

 

従業員は、法人の従業員と同じ書類が必要です。

 

源泉徴収簿」は必要です。

 

以下の書類から選択です。

  • 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(本人交付分)
  • 住民税特別徴収税額通知書の(特別徴収義務者用)と(納税義務者用)
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書及び健康保険被保険者証

 

 

 

その他条件で、常時雇用を確認する人は?

 

75歳以上の後期高齢者

75歳以上は後期高齢者医療制度に加入するため、それまで加入していた被保険者証は使用できません。
一番ベストなのが、以下のセットです。

  1. 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)
  2. 住民税特別徴収税額通知書(納税義務者用)

 

用意が出来ない場合は、以下のセットでOKです。

  1. 後期高齢者医療被保険者証
  2. 70歳以上被用者標準報酬月額相当額改定および標準賞与額相当額のお知らせ(対象年度分)

 

 

月額報酬が10万円未満の方

源泉徴収簿で、月額報酬が10万円未満の方も注意する必要があります。
従業員は原則NGで、技術職員になることはできません。
病欠等で10万円未満になっている場合は、「傷病手当金支給決定通知や申請など」で証明する必要があります。

 

代表取締役、取締役、個人事業主の場合は、10万円以下でもOKです。
ただし以下を提出することで、他で働いていないことを証明します。

住民税課税証明書(直近分)

 

 

出向社員の方

出向社員の場合は、以下の書類を提出することで、常勤性が確認できれば技術職員になれます。

  1. 出向協定書
  2. 出向辞令

 

社員を出向させる際には、辞令による通知だけでなく、出向契約書を交わす必要があります。

 

 

複数の勤務先から給与を貰っている方

複数の勤務先から給与を貰っている方も、以下の書類を提出することで、常勤性が確認できれば技術職員になれます。

  1. 報酬のある全事業所の「法人税確定申告書のうち別表1」
  2. 報酬のある全事業所の「役員報酬手当等及び人件費の内訳」

または、以下のセットを提出するほうが楽です。

  1. 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)
  2. 住民税特別徴収税額通知書(納税義務者用)

 

 

審査基準日以降に退職した方

途中退職者は、以下の書類を提出が必要です。

雇用保険被保険者資格喪失確認通知書

 

資格喪失日が審査基準日以降から現在までにあることで、審査基準日時点での在籍を確認します。

 

 

色々な立場で、色々な書類が必要とするのかぁ~。

 

6カ月を超えていれば、常勤性があると認められんだね。

 

 

 

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